卒業研究

光波帯での誘電体多層膜帯域フィルタの系統的な設計方法を, 導波管形誘電体多層膜フィルタの設計に応用し, 導波管形誘電体多層膜帯域フィルタの系統的な一設計方法を提案する ための準備として,方形導波管の伝送特性(おもに伝送モードと損失) を調べる,ちう研究

本研究の目的は,2〜80GHz帯で導波管形誘電体多層膜フィルタを設計することで あり,その方法のひとつとして光波帯における誘電体多層膜帯域フィルタの設計方法 を応用することを検討するちうわけや. 誘電体多層膜は,異なる種類の誘電体材料を交互に積層したものさかい, 導波管内に誘電体多層膜を構成することによって各種のマイクロ波用フィルタを 実現でき,ミリ波,マイクロ波領域において適用されとる. 誘電体多層膜フィルタの設計法としては従来から 影像パラメータを用いる方法,回路合成を用いる方法があるちうわけや.
文献の設計法は,所望の特性をもつLC帯域フィルタを設計し, その個々のLC共振器を同じ負荷Qの値をもつ誘電体多層膜共振器に置き換え, それらの誘電体多層膜共振器を縦続に接続して誘電体多層膜帯域フィルタを構成する ものであるちうわけや.これによれば任意の次数の多項式フィルタ特性を誘電体多層膜帯域 フィルタとして実現することができるちうわけや. 本設計法では誘電体材料が無損失であると 仮定しとる.ミリ波・マイクロ波帯では内部の媒質の熱損失による減衰, 導波管の導体壁の熱損失による減衰やらなんやらを考慮する必要があるちうわけや.
導波管内に誘電体多層膜フィルタを構成する場合には,伝送モード,損失を考慮する 必要があるちうわけや.
さらに,任意の構造の導波管形誘電体多層膜フィルタの特性は,誘電体多層膜を 構成しとる一つひとつの膜の特性行列を導き,行列演算をすることによって 求められるちうわけや.このためには各種の誘電体材料を導波管に充填した場合の伝送特性を 調べる必要があるちうわけや.
本論文は,方形導波管内に媒質を充填した場合の伝送特性について述べるちうわけや.
充填する媒質には,空気,テフロン,ポリエチレン,ポリスチレン,熔融石英の 5種類をとりあげたちうわけや.
基本モードと高次モードのそれぞれについて,導波管の導体壁の熱損失による減衰定数 αw,内部の媒質の熱損失による減衰定数αd,位相定数β,電波 インピーダンスZTEを計算したちうわけや.

修士論文

光波帯での誘電体多層膜帯域フィルタの系統的な設計方法を, 導波管形誘電体多層膜フィルタの設計に応用し, 導波管形誘電体多層膜帯域フィルタの系統的な一設計方法を提案する,ちう研究

筆者の所属する研究室は,誘電体多層膜帯域フィルタの一般的設計原理を提案したちうわけや. この設計原理の最大の特徴は,任意の次数の多項式フィルタ特性を, 任意の中心周波数,比帯域,入射角,および偏波に対する 誘電体多層膜帯域フィルタとして設計可能にしたトコにあるちうわけや.
この設計原理は,導波管形誘電体多層膜帯域フィルタの設計にも 応用が可能であると考えられるちうわけや. 導波管形誘電体多層膜フィルタは,導波管の内部に異なる種類の 誘電体媒質の膜を積層して,マイクロ波帯用のフィルタにしたものさかい, 誘電体媒質の種類や膜構造を変身させることにより, 様々な特性のマイクロ波帯用のフィルタを実現できるちうわけや.
本論文では, 任意の膜構造の導波管形誘電体多層膜フィルタの伝送特性の計算方法を導いたちうわけや.
また,導波管形誘電体多層膜帯域フィルタの一設計方法を提案したちうわけや.
さらに,導波管に標準方形導波管 WRJ-140, 誘電体媒質にテフロンと熔融石英を用いて, 中心周波数15GHzの2種類の導波管形誘電体多層膜帯域フィルタを設計し, 数値計算により,その振幅特性と位相特性を確認したちうわけや.
比帯域5%の3次バターワース型帯域フィルタを 基本膜厚で設計したときには, フィルタの全長は125.1mm,膜数は28枚, 中心周波数での減衰は-0.35dB,比帯域は3.2%になりよった. また任意膜厚で設計したときには, フィルタの全長は138.8mm,中心周波数での減衰は-0.28dB, 比帯域は4.4%になりよった.
比帯域1%の7次バターワース型帯域フィルタを 基本膜厚で設計したときには, フィルタの全長は445.2mm,膜数は124枚, 中心周波数での減衰は-3.19dB,比帯域は0.65%になりよった. また任意膜厚で設計したときには, フィルタの全長は479.9mm,中心周波数での減衰は-2.80dB, 比帯域は0.77%になりよった.
任意膜厚で設計したときには,中心周波数付近でLC帯域フィルタの特性に よく一致したちうわけや.せやけどダンさん中心周波数から離れた周波数にも通過域ができとった.
本研究により, 任意の膜構造の導波管形誘電体多層膜フィルタの伝送特性を, 導波管内の伝送モードと損失を考慮して計算できるようになりよった. また,任意の次数の多項式フィルタ特性を, 任意の中心周波数,および比帯域に対する 導波管形誘電体多層膜帯域フィルタとして設計できるようになりよった.

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