作品集

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■ タイトル:「夏休み」(詠み人:坂井弘亮)

6a 00 58 50 40
68 79 61 6d 61 50 40
6a 08 5a 5b 40
68 57 61 6b 61 54 40
59 cd 80 58 58 58 c3
        .section .text
        .global main
        .type   main, @function
main:
/*2*/   push    $0
/*1*/   pop     %eax
/*1*/   push    %eax
/*1*/   inc     %eax

/*5*/   push    $('y'|'a'<<8|'m'<<16|'a'<<24)
/*1*/   push    %eax
/*1*/   inc     %eax

/*2*/   push    $8
/*1*/   pop     %edx
/*1*/   pop     %ebx
/*1*/   inc     %eax

/*5*/   push    $('W'|'a'<<8|'k'<<16|'a'<<24)
/*1*/   push    %esp
/*1*/   inc     %eax

/*1*/   pop     %ecx
/*2*/   int     $0x80
/*1*/   pop     %eax
/*1*/   pop     %eax
/*1*/   pop     %eax
/*1*/   ret
(プログラム説明)

実行すると「Wakayama」と出力されます. writeシステムコール番号の「4」という値を生成するのに4つのinc命令を使って おり,さらにそれらを各句の末尾に配置することで,各句の末尾で韻をふんでいます.

(鑑賞点)

最初にゼロ設定したEAXがinc命令で1ずつ増加していく際に,その値を流用して EBXや戻り値のEAXを設定していくさまは,流れる小川のせせらぎのようです. またニーモニックを見ると 「push-pop-push-inc, push-push-inc」「push-pop-pop-inc, push-push-inc」 というスキップするようなリズムがあり,小川のほとりで遊ぶ子供たちの 情景が浮かんできます.このため「夏休み」というタイトルにしました.

最後に同じpopが連続していることはいつまでも続くかのような余韻が感じられ, しかしいつかは(retで)終わってしまうというはかなさもあり, 「夏休み」というテーマがよく表現されています.

各句が40というバイトコードで終了することで韻を踏んでいることも小気味よく, 命令調整のための安易なnopが無いことも爽やかに感じられます.

■ タイトル:「我思う」(詠み人:坂井弘亮)

e8 00 00 00 00
59 6a 1f 5a 6a 01 5b
51 55 49 4e 45
6a 04 58 29 c1 cd 80
31 db 31 c0 40 cd 80
        .section .text
        .global main
        .type   main, @function
main:
/*5*/   call    1f

/*1*/1: pop     %ecx
/*2*/   push    $31
/*1*/   pop     %edx
/*2*/   push    $1
/*1*/   pop     %ebx

/*1 Q*/ push    %ecx
/*1 U*/ push    %ebp
/*1 I*/ dec     %ecx
/*1 N*/ dec     %esi
/*1 E*/ inc     %ebp

/*2*/   push    $4
/*1*/   pop     %eax
/*2*/   sub     %eax, %ecx
/*2*/   int     $0x80

/*2*/   xor     %ebx, %ebx
/*2*/   xor     %eax, %eax
/*1*/   inc     %eax
/*2*/   int     $0x80
(プログラム説明)

アセンブラ短歌によるQuine(自分自身を出力するプログラム)です. 実行すると自分自身のダンプを出力します. さらに3句目に「QUINE」という5文字にマッピングされている5命令が 埋め込まれてあるため,Quineによって「QUINE」と出力されます.

(鑑賞点)

Quineにより「QUINE」と出力させていることは,内面をさらけ出した上で 「私を見ろ!」「私は私だ!」と言っているような強い自我と誇りの高さ, 情熱を感じさせ,タイトルの「我思う」にふさわしい作品になっています. 言いたいことを言った後はretでなくexitシステムコールで終わっていることも 過去を振り返らない意志の強さが感じられていさぎ良く, 一本筋の通っている作品と言うことができるでしょう.


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